英語コミュニケーションスキルを高めるには、CEFRの各レベルで求められるスキルを総合的に身につけることが重要です。特に日本人学習者は、語彙や文法は得意でも、スピーキングが苦手な傾向にあります。そこで、本記事では、CEFRの概要を紹介するとともに、苦手なスキルを優先して克服するスキルビルドの考え方と、具体的な練習方法を紹介します。
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CEFRの概要
CEFRとは、Common European Framework of Reference for Languagesの略で、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と呼ばれます。2001年に欧州評議会によって開発された、外国語の習熟度や運用能力を測る国際的な指標です。
CEFRは、A1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階に分かれており、それぞれの段階で、「何ができるか」という形で言語力を表す「can-do descriptor」を用いてわかりやすく示しています。
CEFRは、学習者や指導者、評価者が、外国語の熟達度を同一の基準で判断できるように開発されました。そのため、単純に言語の熟達度を示すことに留まらず、教員研修や、教育課程の改革、教材開発等においてもCEFRがますます用いられています。
日本でも、文部科学省が新学習指導要領における英語の評価指標としてCEFRを採用しています。
では、ここからはCEFRの各レベルでどのようなスキルを達成できるのか、見ていきましょう!
CEFR-A1でできること!
- 身近な日常表現ができ、自己紹介や、他者の紹介ができる。
- 誰がどこに住んでいるか、知っている人々、持っているものなど、簡単で個人的な質問に答えたり、質問することができる。
- 他の人がゆっくり、はっきりと話す手助けをしてくれれば、簡単なやりとりができる
CEFR-A1に合った学習方法は?
- 毎日コツコツ続けましょう:基本的なフレーズや日常会話を学ぶことが大事です。毎日少しずつでも英語に触れることを心がけましょう。
- リスニング力を養いましょう:短い会話や音声を聞くことで、リスニング力が鍛えられます。
CEFR-A2でできること!
- 個人情報や買い物、地理、仕事など、身の回りでよく使われる表現を理解できる
- 日常的な情報のやり取りができる。
- 自分が必要としていることや自分の状況や背景について簡単な言葉で説明できる。
CEFR-A2に合った学習方法は?
- 基本的な文法と単語の理解を深めましょう:A1よりも少し複雑な表現や文法を学び、さらに基本的な語彙を増やすことが重要です。
- リーディングとリスニングの練習を増やしましょう:短い文章や音声を理解し、情報を取り入れる力を養いましょう。
CEFR-B1でできること!
- 仕事や学校、余暇などでよく遭遇する身近なトピックの要点を理解できる。
- 英語が話される地域で旅行する際に多くの状況に対処できる。
- 馴染みのあるトピックについて文章を書いたり、経験を説明したり理由を述べたりできる。
CEFR-B1に合った学習方法は?
- 色々なトピックに慣れましょう:日常会話だけでなく、興味のあるトピックについても会話ができるようになることが目標です。
- 自分の意見を表現しましょう:意見を述べたり、理由を説明したりする能力を養うことが重要です。
CEFR-B2でできること!
- 具体的・抽象的なトピックに関する複雑なテキストを理解できる。
- ネイティブスピーカーとのコミュニケーションに難しさを感じることなく流暢に対応できる。
- 幅広いトピックについて明確で詳細な文章を書き、トピックに関する利点と欠点を説明できる。
CEFR-B2に合った学習方法は?
- 複雑な構文や表現を学びましょう:より高度な文法や表現を学び、複雑な文章を理解できるようになりましょう。
- 読解力と表現力を向上させましょう:長い文章や議論を理解し、自分の考えを論理的に表現できるように努力しましょう。
CEFR-C1でできること!
- 長く難しいテキストや暗黙の意味を理解できる。
- 言葉に迷うことなく流暢にアイディアを表現し、社会的・学術的・職業的な目的で柔軟に言語を使える。
- 複雑なトピックについて構造化された詳細な文章を書くことができる。
CEFR-C1に合った学習方法は?
- 高度な文法と語彙を磨きましょう:より洗練された表現や高度な文法を習得することが重要です。
- 高度なリーディングとリスニングのスキルを養いましょう:専門的なトピックや論文なども理解し、深い内容を吸収できるよう努めましょう。
CEFR-C2でできること!
- 聞いたり読んだりするほとんど全てのことを簡単に理解できる。
- 複数の情報源から情報を要約し、議論を再構築する能力がある。
- 複雑な状況でも微妙なニュアンスを含めて流暢かつ正確にアイディアを表現することができる。
CEFR-C2に合った学習方法は?
スキルビルドの組み方
コミュニケーションは総合力
各レベルを達成し、コミュニケーションを円滑に行うためには、様々なスキルの総合力が求められます。4技能と言われるものを筆頭に、それらを支える以下のようなスキルです。
①リスニング力
②リーディング力
③スピーキング力
④ライティング力
⑤語彙力
⑥文法力
⑦自信を持って話す力 etc...
これらのスキルのどれか一つでも欠けたままだと、英語力の成長は頭打ちしてしまいます。
得意なものを伸ばす、ほめられて頑張れる、こういった側面もとても大事ですが、コミュニケーション力に関しては「苦手な物を優先して克服する」ことが最重要課題になります。栄養学で言うところの「アミノ酸の桶理論」と同じです。要はバランスがとても大事なのです。
学習者の多くが特化型ビルド
特に日本人学習者の方は、語彙や文法はB~Cレベルあるにも関わらず、スピーキング力がAにも満たない方も多いのではないでしょうか。スキルのビルドが特化しすぎているのです。
単語の暗記が得意なプレーヤーは進んで語彙力を高めるでしょう。学校では文法や読解演習が中心ですし、リスニングも映画鑑賞や聞き流しでたくさん時間をかけられます。しかしそれらだけでは実戦では力を発揮できないと感じる方は多いはずです。
伸びしろのあるスキルを底上げしよう!
英語4技能のうち、リスニング、リーディングは「インプット」であり、ライティング、スピーキングは「アウトプット」と言えます。このウェブサイトでは、多くの方が不足しがちなアウトプットトレーニングを、音読練習を通して行います。脳内の情景や感情をダイレクトに英語に変換し口にする、自分の思いを英語で伝える、短い寸劇を演じる、猫に転生する(笑)などのエクササイズを用意しています。ぜひ「声に出して」活用してください。
さらに、忙しい、ネイティブが近くにいないといった状況でも、出来ることはたくさんあります。例えば、
- 毎日3分、Imaginary Friend(想像上の友達)に英語を話す練習をしてみる。
- 今日の出来事を話してみたり、テーマやシチュエーションを決めて話してみると良いでしょう。
- 英文日記を書いてみる
- 毎日数行でも、ほんの一言でも良いので書いてみましょう。継続していれば「あれはどう言うんだろう?」と学習自体に問題意識が生まれ、自ら調べることでそのつど表現の引き出しが増えていきます。
- 英語仲間を見つけ、メッセージは英語でやり取りをする。
- 交換日記のように日課にしてしまうのもよいですね!
苦手なスキルを練習するのはハードルが高いと感じられるかもしれませんが、むしろ伸びしろのある部分は小さな進歩でも大きく成長を感じられるはずです。日本で生まれ育った人間が"Hello!"と口にできるだけでもすごいことです。声に出せる言葉が一言、二言、増えていく度に成長を感じていきましょう!
最後に
最後に、ドウェイン・ジョンソンの素敵な言葉を紹介します。
"Success isn't overnight. It's when everyday you get a little better than the day before. It all adds up."
- Dwayne Johnson -
「成功は一晩でやってくるものではありません。毎日少しずつ前日よりも良くなることが成功です。全てが積み重なっていくのです。」
皆さんの英語ライフに幸あれ! May success be with your English learning!