英語学習をしている多くの方は、「音読が良い」ということを聞いたことがあると思います。
一方で、「音読って本当に効果あるの?」という気持ちや「なかなか継続できない」という悩みを抱えている人もいるかもしれません。
この記事では、
- 英語学習において「声に出す」「音読する」ことがとても有用である証拠
- 音読の効果を倍増させる具体的な方法
- 音読を楽しく継続させるマインドセット(考え方)
について、実際に音読をしながら紹介していきます。
- 音読って本当に効果あるの?:研究や論文を紹介
- 音読の効果を200%以上アップする具体的な手法3つ
- 「棒読み」になってない?
- 「インパクト」と「反復」が鍵
- 継続できるための4つのマインドセット
- ドウェイン・ジョンソンの心に響く言葉
音読って本当に効果あるの?:研究や論文を紹介
「音読」は確かに効果ありそうだけど本当のところどうなの?という点については、たくさんの研究や論文が発表されています。そのいくつかを紹介します。
- 「音読による英語学習の効果に関する研究」(安河内哲也、2008年)
- この研究では、英語学習経験が浅い大学生を対象に、音読と黙読のグループに分け、2週間にわたって音読と黙読の学習を実施しました。その結果、音読グループは黙読グループに比べて、発音の正確さ、リスニング力、リーディング力が向上したことが示されました。
- 「音読による外国語学習の効果:効果的な学習方法とそのメカニズム」(2022年)
- この研究は、日本の国立教育政策研究所が行ったもので、外国語の音読の効果を検証したものです。研究の結果、音読は外国語の語彙力、文法知識、読解力、発音力の向上に有効であることが明らかになりました。また、音読の効果は、音読の速さや音読の回数に比例して高まることがわかりました。
- 「外国語の音読の効果:音読と他の学習方法との比較」(2022年)
- この研究は、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校が行ったもので、音読と他の学習方法(単語の暗記、文法の学習、リスニングの練習)との比較を行いました。研究の結果、音読は他の学習方法と比較して、外国語の語彙力、文法知識、読解力、発音力の向上に効果的であることがわかりました。また、音読は他の学習方法と組み合わせて行うことで、相乗効果が期待できることがわかりました。
他にも同様の研究成果は国内外問わず多数発表されており、結論はやはり、音読は「しなきゃ損!」なのです。
音読の効果を200%以上アップする方法
さらに、音読の際、以下のことに意識をすれば、その効果を最大限発揮することができます。
具体例と共に実際に音読してみてください!
生き生きと情景をイメージしながら音読する
では、さっそく次の文章を音読してみましょう!(おじいちゃんおばあちゃんと公園に行ったよ。水辺の近くに黄色いブランケットを敷いて座ったよ。暑い日だったけど、木陰は静かで涼しかったよ。)
まず、英文を読み、和訳も確認して、脳内に自然と情景が浮かびましたか?ポイントは、その情景を、できるだけ生き生きと描くことです。例えば、おじいちゃんおばあちゃんの顔、水辺の匂い、ブランケットの手触り、木陰で感じるそよ風…など、自分にイメージできる範囲からでいいので、想像力を膨らませてみてください。
そして、そのイメージを持って、「音読」していきましょう。「情景をイメージ→Englishに」を繰り返すことが大切です。和訳はあくまで困ったときの確認用です。「情景→日本語→英語」よりもスピーキング力(=Speaking proficiency *力=powerとは言いません)が向上し、いわゆる英語脳が育ちます。
意識的に行うのは最初は難しいかもしれませんが、やさしめの英文から始めるとイメージしやすいのでおすすめです。また、文のつながりを理解するためにも、基本的な文法の知識は押さえておきましょう。
心をこめて、ドラマチックに音読する
次はこの文章を音読してみましょう♪Ben: Oh no! It's like a waterfall!
Alice: Maybe you should build a dam with your waffle cone?
Ben: Good idea!
(アリス:ベン、あなたのアイス、溶けてるよ!
ベン:うわっ!滝みたいになってる!
アリス:コーンでダム作ってみたらいいんじゃない?
ベン:天才かよ!
二人のやり取りが生き生きとイメージできたでしょうか?その上で、今度は「心を込めて」「ドラマチック」に音読することがポイントです。
そうすることで、先の「情景をイメージ→Englishに」していく場合と同様に、脳内で「気持ちや感情→English」の回路を太くしていくことができます。
状況に応じた表現が"roll off the tongue"(口をついて出てくる)ようになるためには、この「ドラマチックな音読」がとても効果的です。
カッコつけて、音読してみる
最後はこの文章を音読してみましょう!音読することは言語学習に良いです。発音やリスニングの練習ができます。新しい単語や文法を学ぶことができます。物語や音を楽しむことができます。
これは「説明文」であったり「論説文」のような、事実や意見を淡々と伝える文章です。英検や大学受験の長文読解の為に音読を利用するといった場合に、このような文章は情景をイメージし辛かったり、感情を込めて読むとかえって不自然になることもあります。
解決策は簡単かつ効果的で、見出しにある通り「カッコつけて」読むことです。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズのスピーチや、TED講師のレクチャーなど、ステージで説明している姿、とってもカッコいいですよね? "I have a dream."を世界一かっこよく語れるキング牧師のように、"I have an apple!"という一言ですら、自信満々に決めてみましょう(笑)。音読するのががますます楽しくなりますよ😊
後の「マインドセット」の部分でも触れますが、ささいな一言でも発せられることに自信をもつことがとっても大事です!
「棒読み」だと効果半減
音読練習をするときは、いつのまにかそれが「作業」になってしまい、ただの「口の運動」にならないようにしましょう。
上記のポイントを意識して音読することは、ただ言葉を発するだけに比べると、精神的にもエネルギーが必要で、当然脳内でのカロリーの消費も高くなります。ですがそれに見合った効果がありますから、短時間でもいいので継続することが大切です。
「インパクト」と「反復」が鍵
では、「情景を生き生きとイメージ」して「ドラマチックに」「カッコつけて」音読することがなぜその効果を倍増させるのでしょうか?それは脳の記憶の仕組みに関わってきます。
すぐに忘れてしまう事柄もあれば、一度だけの経験でも鮮明に記憶されている事柄もあるのではないでしょうか。
この違いは、その出来事の「インパクト」にあります。修学旅行の思い出など、心に深く刻まれた思い出は忘れることがないのです。
また、人の名前を覚えるのが苦手な人に有効なテクニックとして「声に出し」「反復する」という方法があります。「○○さんおはよう」「○○さんありがとう」と、意識的に名前を口にすることで、顔と名前が一致していくのです。
英語の音読においては、楽しく続けていくことで、脳内に「英語での反射神経」が自然と鍛えられていくのです。
継続できるためのマインドセット
そうは言ってもやっぱ続けるの大変だよね?という方は次のような「発想の転換」を参考にしてください。
「勉強」というより「生活の一部」だと考える
音読に限らず、英語は「生活の一部」として自然に触れる時間を増やした方が長期的に学習効果が上がります。短期で検定の合格を目指すなど、机に向かって勉強するという場合もありますが、語学はそもそもコミュニケーションや情報収集の手段ですから、生活の中に組み込んでしまった方が無理なく続けられます。
例えばSNSで英語のmeme(ミーム:ネタ系の投稿)アカウントをフォローするだけでも、日常に自然と英語で考える時間を組み込めます。面白いフレーズに出会ったら、すぐに声に出して音読を実践することもできます。外出先では口パクするだけでも効果がありますよ。
「音読練習」といよりも「演技の稽古」
本来の目的が、音読をして英語を上達させるのか、上手に演技をして魅力的な俳優を目指すのか、どっちか分からなくなるくらいが良いです(笑)
気合を入れて音読を始めた人が、たくさん音読することを意識するあまり、ずっと棒読み状態になっていることがあります。それでは退屈ですし効果も期待できませんので、どうせやるなら楽しく演じましょう!
人生はあなたが主役の舞台です。英語で、自分をドラマチックに、カッコよく見せる俳優(声優)になったつもりで音読するとうんと上達しますよ。
最初は「ジャパニーズイングリッシュ」も「個性」
正しい発音を学ぶことは、リスニングを上達させる上でも大切ですし、ネイティブの音声を真似るシャドウイングやオーバーラッピングは効果的な練習方法です。
ですが、もし、上手に発音できないことを恥ずかしいと思ってしまい、コミュニケーションに引け目を感じるとしたら、発音は一旦気にせず開きなりましょう(笑)。
最初はカタカナ英語っぽくても、「堂々と声に出す」ことの方が大切です。その上で発音の練習をしていけば自信が倍増していくでしょう。
東南アジアの人たちは英語の発音が個性的な人が多いですが、英語がとても流暢で驚くこともあります。
要は、自分の言葉で伝えようとするその気持ちが、英語で考え、英語で話す力を育てるのです。
「謙虚」よりも「ちょっと自信過剰」なくらいでちょうどいい
日本人の美徳とされる「謙虚」さは、語学学習においてはそっと横に置いておきましょう。
オーストラリアで日本語を教えている学校の生徒たちの話です。子供たちはみんな「俺の日本語聞いて!」「私日本語とっても上手なの!」と元気いっぱいです。
で、実際しゃべってもらうと、いうほどたいしたことない(笑)。私たちが初めて"はろーはうあーゆー?"と言っていた時のようなものです。
でも子供たちは本当に楽しそうで、日本語をしゃべれる自分たちを本気ですごいと思っているようです。
こういうのこそ語学学習のあるべき姿だと思いますし、ぐんぐん新しい言語を吸収していけるでしょう。
日本でも、小学校の間は楽しく英語を学べますが、小中高と進学するにつれ文法と読解と紙のテストが中心になり、小さなミスを評価されることに慣れすぎてしまい、結果、自身の英語について「できること」よりも「できないこと」ばかりを気にしてしまいます。
ネイティブと話す際パニックなるとしたら、この変な思い込みのせいです。
今日からは、"Can you speak English?"と聞かれても、遠慮して"A little."なんて答えずに、元気いっぱいに"Yeees. I speak English!"と言ってみましょう!
例えその後が単語の羅列になったとしても、それがコミュニケーションを学ぶ最初の一歩です。
改めてスピーキング1年生だと思って、とてもシンプルな事でも英語で説明できたら絶対にドヤるべきです!その小さな自信をたくさん積み上げていけば、気づいた時には自分の英語力がとても成長していることに気づくはずですよ。
最後に
別の記事でも紹介していますが、ドウェイン・ジョンソンの素敵な言葉をでこちらでも紹介します。
"Success isn't overnight. It's when everyday you get a little better than the day before. It all adds up."
- Dwayne Johnson -
「成功は一晩でやってくるものではありません。毎日少しずつ前日よりも良くなることが成功です。全てが積み重なっていくのです。」
皆さんの英語ライフに幸あれ! May success be with your English learning!